第11章 逃走と真実【原作編(合宿/神野)】
※轟視点
合宿も3日目を迎えていた。
俺は個性を伸ばすための訓練として続けていた。
相澤先生が言っていた「原点」を忘れないこと。それを頭で思い描きながら、長い時間個性を出し続けてた。
それが終わったら夕食を自分たちで作り、日が暮れる。珍しくこのあと、肝試し.....みたいなのをするらしいと盛り上がっていた。まあたまにはこんな日があってもいいのかもしれない。
そんなふうに夜が訪れた時だった。
突然やってきた敵(ヴィラン)の侵入により、俺たちは彼らとの戦闘を余儀なくされた。
1年A組の面々と力を借りながらなんとかこの危機を脱しているが、考える余裕がない程のスピードでヴィランは俺らを攻撃する。
その戦闘は一歩間違えれば被害を被る程の緊迫した状況の中でただひたすらなんとかしようと個性を使っていた。
しかし、
「合図から5分経ちました。行きますよ荼毘」
「ごめんね出久くん。またね」
「待て。まだ目標が」
「ああ、アレはプレゼントしよう」
「マジックの基本でね。モノを見せびらかす時ってのは見せたくないモノがある時だぜ?」
ヴィランの一人に俺らの仲間を一瞬で奪われてしまった。
「待てッ!!」
「そんじゃ、お後がよろしいよう、」
一人は取り返すことができた。でも、爆豪がまだ残っている。
なんとか、救出するために手を伸ばしたが届かなかった。
「哀しいなぁ 轟焦凍」
手を伸ばした先にはソイツが立っていた。
『返せ!』
「そりゃ無理な話だな」
ニヤッと笑いながら思いがけない言葉が聞こえた。
「一条沙耶、だっけか?」
『?!』
「守れるといいなァ?後悔しないうちに」
『な、なんでアイツの名前…』
「さぁな」
『おい、待て!』
一条、だと?
どうして、ヴィランのコイツが一条の事を知っている?しかも、名指しでそう言ってるという事は明らかに俺と関係していると分かった上でそう話している。
雄英の学生はヒーロー科に限らず情報が入っているって事か?
(‥‥まずい)
色んな意味で焦ってきて、問い返そうとしたが、時はすでに遅かった。
「かっちゃん!」
「来んな…デク…」
緑谷と爆豪の声が聞こえる。一瞬の最中でヴィラン達はこの場から去っていった。
唖然とした気持ちで周りを見渡すしかなかった。