第11章 逃走と真実【原作編(合宿/神野)】
首を噛む事が暇つぶしって‥‥私にはよくわからない。
「くっく、面白れぇな。お前」
『い、至って真面目ですが…』
「拉致られて萎縮しているかと思ったら、頭突きする余裕はあるのかよォ」
何が面白いのかわからない‥‥でも、彼には何か刺さったみたいで‥‥
まあ、険悪な雰囲気になって殺されるよりはマシなのかな。
「ここでお前を犯したら、アイツはどう思うんだろうな。」
『!!お、おかす?!』
「まあ、アイツの反応なんてどうでもいいが、アイツと一緒にエンデヴァーも来てくれたら万々歳だな。」
と、とんでもない発言をしているわけだけど…それよりも、エンデヴァー‥‥?
もしかして、轟くんのお父さんの事‥‥?
『エンデヴァー、って‥』
「おっと、ネタばらしは後に取っておくか。」
『‥‥‥‥』
「それよりも、そろそろ俺も野暮用があるんでな。おしゃべりはここまでにしてやるよ。」
そう言われると、ずっと押さえつけられていた体制から解放された。
「‥‥せいぜい大人しくしとけよ。可哀想な女、」
ニヤニヤされながら耳元でささやかれ、訳も分からずその場を去られてしまった。
(‥‥い、いったい何だったの)
もしかしたら拷問とかされると思って、押し倒された時はかなり焦っていたのに、まさか首を噛まれるなんて想定外すぎた。首を噛まれたり、舐められたり、お・・・かされる発言など散々ではあったが…
正直、勝手に首を噛まれて嫌悪感がなかったわけじゃないけど、今は自分がここを脱出できる隙を何としても探す事が大事だろう。
(‥‥夏祭りの時といい、もう散々だな)
自分のリラックスのために出かけたのに、こういう事に巻き込まれて、なんだか気落ちしそうだ。
(…おばあちゃん、…お父さん、クラスのみんな、)
私が行方不明になってる事は、知れ渡っているのだろうか。そもそもどれぐらい経ったのかわからないからは判断も難しい。
自分の知人を思い出しながら、やはりふと思い出してしまった。
(‥‥轟、くん)
こういう時に思い出してしまうのは、自分の気持ちも大分弱っているのかもしれない。
今頃、夏の合宿に参加している頃だろうか。
(‥‥1カ月、時間が欲しいって言ってたけど、)
やっぱり、私は‥‥