第11章 逃走と真実【原作編(合宿/神野)】
誰かの声が聞こえる。でも朧げでよく聞こえない
おい、起きろ。女。
瞬間、全身に水をかけられた。
『っけほ、‥‥っ』
苦しくて目が覚める。
「いつまでも寝るんじゃねぇよ。女」
「きゃぁ、ずぶ濡れ~」
「下らねぇ。」
目を見開くと、見知らぬ人が3人。私を見下ろしていた。
(え‥‥ここはどこ・・・)
周りを見渡すが、手は後ろに何かで縛られてみるたいで動けない。どこかのバーの中みたいだ。
(どこ、なの、…私、どうして)
そもそもどうして私がこうなったのかを思い出そうとしていた。
「おい、お前、勝手な事するなって言ってるだろ。ただでさえ、大がかりの仕事になりそうなのに、予定外な事するんじゃねぇ。」
「まあ、いいだろ。コイツも一応雄英みたいだし、」
「あ~カァイイねぇ同い年????刺してチウチウしたいです。」
「うるせぇ、黙ってろイカレ女」
私の考えとは裏腹に、勝手に会話を始めている。そこで初めてその中の一人が見覚えがある人だと気づいた。
そうだ。私はこの黒いコートの人に声をかけられていた。そこから記憶があまりない。
ってことは、私は彼に拉致されたってこと?
「はぁ、俺は出ていく。こんな勝手な事二度とすんな。」
ものすごい手を顔につけてる人が退出していく。
「それよりもトガはお話したいです~」
制服を着ている同い年ぐらいの女の子が私をじっとみている。
「ねぇ、あなた、荼毘くんのお友達??トガとも友達になってください」
反応にとても困る。好意で言っているんだろうけど、腰元にあるナイフが気になって安心できない。
「後、これなんです??」
『あ....』
それは理央ちゃんのプレゼントとして選んだものだ。いつの間にか勝手に中身まで開けられていた。
「わぁ、これカァイイ〜❤︎ トガこれ欲しいです」
ネックレスを手に取って喜んでいる彼女は、許可もなく勝手に貰おうとしていた。
(できれば返して欲しい、)
そう言いたかったが、自分の状況がまだ把握できない以上余計なことは喋らないようにしていた。
手が動けないように縛られているのを考えると、無闇に発言できなかった。