第11章 逃走と真実【原作編(合宿/神野)】
素直な気持ちか、
お茶子ちゃんと話す事で少しだけ楽になれた気がする。
色んな事が起こりすぎてかなり頭でっかちになってしまっていたのかもしれない。
『お茶子ちゃん、ありがとう。なんかごめんなさい。こんな重たい相談しちゃって』
「大丈夫だよ!沙耶ちゃんも少し心が軽くなったらいいね。」
『うん、あ…時間は大丈夫?』
「そろそろ集合時間やね。」
私の相談事でかなり時間を使ってしまって、申し訳ない。ただ彼女はそれを気にしないほどの明るい表情を向けていた。
とても眩しい。
「それじゃ私はこれで!バイバイ!」
『うん、ばいばい』
こうやって会話すると、やはりヒーロー科にいる子たちはすごいなって感じせざるを得ない。
もっと私もあんな風に明るい気持ちで物事を考えたい。ないものねだりだけど、
どうすればそうなれるんだろう
しばらく考え込んでいると、後ろから声が聞こえた
「よう、元気だったか」
『え?』
振り向くと、黒いコートを着た男性が立っていた。気配を感じ取れなかったいつの間に??
この人は、確かあの時の、
ーおい、女
ーう、うわ!?
ー‥‥落ちてたぞ
ーえ、っあ!すみません
ー大事なものだったんです。助かりました
轟くんの手紙を拾ってくれた人だ。まさか、こんなところで会うなんて思わなかった。
それに、こんなにフランクに話しかける人だったっけ?
以前会った時とはだいぶ違うような、なんだか気分が上がってるみたいだった。
.......なんだか変な予感がする。
『あの、私にはどういう件で』
「ああ大したことじゃねぇよ」
そう言った途端、彼は瞬時に私の背後に回り、ハンカチで口を塞がれた。
『......!』
「お前にはしばらく寝ていてもらうぜ。」
息ができず苦しんでいるのと同時に、私はそれ以降気を失った。
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一条沙耶の音沙汰が途切れた。