第4章 自覚と決着【過去編】
『怖いことするな…』
翌日、学校の靴箱を開いた瞬間、思わずつぶやいた。いくつもの「死ね」という文字が入った手紙がたくさん入っていたのだ。とりあえず全てゴミ箱に捨てた。一人ため息をついて、教室へ向かった。
昼休み、綺麗に洗い直したハンカチを渡しに、彼の席に向かった。
『はい、これ』
「…ああ、」
『…一応アイロンもかけたから、元通りになってるはずだと思うよ』
「‥‥お前、意外にマメだな」
綺麗になっているハンカチに感心した後、彼は私をじっと見つめていた。
「…それで、 お前アイツらにまた絡まれたりしてねぇのか」
『…今のとこは大丈夫だよ』
「…」
一応絡まれたりはしていないので嘘ではないはずだ。さすがにこればかりは迷惑をかけるわけにはいかない。話題を切り替えていこう。
『轟くん、今日おにぎりなんだ』
昼飯がそれだけでいいんだろうかと思い、その話題にもっていった。
『お腹空かないの?』
「…あまり」
どうやら食自体にあまり関心がないようだ。普段きちんと食べているか心配になる。
『普段の昼ご飯はどうしてるの?』
「事前に買ってる。姉さんが作ってくれることもあるが、大学で忙しいから毎回は作れない。」
『…そうなんだ、大変なんだね』
色々と事情が気になるところだが、何か私に出来ることがないだろうかと考えた。
『…何か作ってこようか?』
「いいのか」
『迷惑じゃなければ、』
私としては、昨日の恩をきちんと返したいし、こんなので返せるか分からないが、彼に何かしてあげたいという純粋な気持ちだった。
『何か作ってもらってほしいものはある?』
「そば、」
『そば? 和食が好きなの?』
「そういうわけじゃねぇ」
とはいえお弁当にそばというのは中々ない気がするが…考えた末に聞いてみた。
『うーん‥そばだけがメインっていうのもあれだから、他のも作ってきていい?』
「ああ、」
『…じゃあそうするね』
明日、美味しいって思えるような、食事を作れるように頑張ろう。