第11章 逃走と真実【原作編(合宿/神野)】
※一条視点
あの出来事以来、どうしたらいいか分からず悶々とする日々が続いた。
また、家族でいうと最近おばあちゃんの容態があまりよくないこともあって、お見舞いさえもあまり出来ない状態だ。
以前は普通に会話もできたのに、今はそれすらできない現状が辛い。
(逃げたいな、)
色んな事がたくさんありすぎて、最近頭の中は現実逃避をしている。
体調もまた悪くなっているような気がするし、とても良くない傾向だ。
(‥‥どっか行こうかな)
気分を変えたいと思ったが、どこに行くべきか悩む。自分はあまり外出を頻繁にするタイプではない。
『あ、』
そういえば、もうすぐ友人の誕生日だ。プレゼントを買うという名目でショッピングモールに行くのはどうだろうか。
(よし、)
早速大手のショッピングモールに出かけた
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『人、すごいな、』
大勢の仲でたった自分一人。こうして悩んでいても結局は自分はちっぽけな人間の一人にすぎなんだなと思った。
色んな場所を周りながら、プレゼントを考える。
大体1時間ぐらいだろうか。選んだのはアクセサリーだった。普段彼女がよく愛用しているブランドという事は聞いている。
さて、と。意外にも早く買い終わってしまった。
時計を見たら、午後3時。
まだ時間があるとはいえ、夏祭りみたいに一人で行動していると危ない事が起きるかもしれないから、なるべく早めに帰ろう。
「虫よけ~~~!!」
「虫!?」
そう思ってるとき、こっちの方へダッシュして来る女の子がいた。そして、勢いよくこっちへぶつかりそうになっていた。
「ああ、ご、ごめんね!!』
幸い、お互い回避してぶつかる事はなかった。それよりも、彼女の方は怪我がないか心配だ。
(‥‥・あれ?)
あまりの速度に一瞬分からなかったが、よく見たら見知った顔をしている。
『‥‥お茶子ちゃん?』
「あ、ああ!沙耶ちゃん。偶然だね!」
彼女は恥ずかしそうに、さっきの事は忘れて!と念を押された。
「沙耶ちゃんは、今日はどうしてここに?」
『あ、私は‥‥プレゼントを買いに来たんだ。もうすぐ友達の誕生日だから、』