第10章 話し合いと繋ぎ【夏祭り】
これだけ明確に確認できたのに、違う?
「それとも違う。」
『い、いや、…明らかに想像してなかったって顔してたじゃない‥‥』
「それは、‥‥言われてハッとしただけだ。」
どういう意味だろう、頭にハテナが浮かぶ中、彼は私の手に自分の手を重ねた。
急な出来事に思わず体がビクリと反応した。
『え、な、何?!』
「手を握った。」
『い、いや…それは分かるけど!なんで今?』
「‥‥なんとなく、触れたいって思ったからだ。」
え?え??
驚きが隠せないで頭の中が停止していると、彼は私の手のひらをじっとみながら自分のと比べていた。
「小さいな、」
『そ、そう…だろうねっ、』
私は今彼がしている行動についていけなかった。
『あの、手離してもらえると助かるんだけど、』
「‥‥ん?ああ、悪い。」
幸い、私の呼びかけにすぐ応じて離してくれたので、ほっと息をする。
すごくドキドキしたし、何の迷いもなく手を握り始めた彼に驚きが一杯だ。
やっぱり、私を好きだから行動したってより、ただ好奇心で手を握ってみただけのような気がしてきた。
えっと‥‥何の話をしていたんだっけ?
『と、とりあえず、轟くんが私を好きになるとかはあり得ないって話で、』
「‥‥まあ、それは後で考える。」
『あ、そ、そう…それで、あの、』
結局彼との会話はどういう風に転んでいくんだろうか。
「とりあえず、だが、‥‥‥俺にもう会わないって言った事、それを一旦、保留にしてほしい。」
『保留?』
想定外の事をお願いされた。
確かに、すぐに納得しろと言われても納得するのは難しいだろうと思っていたけれど、
「夏休みが終わった後、ニ学期が始まった頃、それまでに答えを出す。」
『‥‥答え、って』
「お前を傷つけないで、これからも関わっていく方法を探したい。」
それって、
私が納得するような提案を出すっていうこと?
でも、
“もしその答えに私が納得できなかったら?”
あまりにも彼にとって不利すぎる条件な気がする。
『でも、それは‥‥』
「待たせてしまうのは申し訳ないが、頼む。」
待つ事自体は、まあ夏休みの期間だし苦ではないが‥‥
『轟くん、は…』
思わず口が回ろうとしたとき、彼の近くから電子音が聞こえた。