第9章 好意と本音【期末試験】
そんな思いを秘めたまま、時間はあっという間に過ぎていき、
今日は、期末試験の最終日だ。
(‥‥はぁ、)
ため息が出ながら学校へ進む。家族の出来事、轟くんの出来事もあるが、学生の本分は勉強だ。自分の感情に時間を割く余裕はなく、勉強に切り替えないといけなかったため、気持ち的にかなり切羽詰まっていた。
(‥‥なんだか、‥‥重たいな、)
その影響なのか、体の調子があまり良くない。適度に休みを入れてもそれは変わらなかった。
(‥‥疲れて、いるのかな、)
とはいえ、今日は期末試験の最終日だ。よっぽどの事じゃない限りは欠席したくない。
「どうしたの、アンタ、顔色悪い!真っ青じゃん!」
『‥‥やっぱ、そうかな、』
「ちょっと、大丈夫なの?」
『‥‥うーん、とりあえず試験が終わったら休むよ。』
迷惑をかけてしまったのは心苦しいが、中途半端に休むわけにもいかなかった。
(‥‥とりあえず、今は試験に集中、)
どうするかは後で考えよう。
(…‥終わった)
放課後のチャイムが聞こえて、ようやく試験が終わったのだと気づき、そっと胸を撫でた。
静かだったクラスも少しずつ学生たちの声が聞こえてくる。
『‥‥ふぅ、』
息を吐いて、自分の状態を確認する。だるさが一気に加速するかの如く全身を巡っている。
(…やっぱ、休み時かな、)
一晩休んで治るかな、と思いながら、私はとりあえず、カバンに色々入れ始める。今日は試験だけで特に委員会も用事はなかったはずだ。
「沙耶、帰る?」
『‥‥うん、その前に保健室で仮眠取ってからにする。』
「そっか、お大事に。」
『うん、お疲れ様』
理央ちゃんは私に気を使ったのか、特に長い話もせずに帰っていく。そんな背中をぼーっと見つめながら、自分もせっせと準備して、保健室に向かう。
廊下に行くと、別クラスの人たちが大勢いるのがわかった。ヒーロー科の人たちだ。これから実技試験に向かう最中らしい。‥‥という事は、
自分の見知った人の後ろ姿を見て、思わず足を止めた。遠くからその人を見つめていた。
(‥‥轟くん、)
その後ろ姿を見ながら、私は中学生の頃、久しぶり再会した頃の事を思い出していた。