第1章 入学式ープロローグー
黒子は再び、バスケに戻る。そろそろ、火神が押さえられる頃だった。火神がボールを持ってる時は三人、持っていなくても二人のマークが付いた。
(やっぱ、そうくるよな?…まあ、黒子がいるから…)
コートを見ながら監督じみた台詞を言ってみる。まあ、それなりに中学で簡単な作戦やゲームメイクは出来る。
「すいません、適当にパスもらえませんか」
「は?」
ボールを持っていた一年生に声を掛けた黒子。一年生は驚きながらも黒子にパスを出す。その時点で残り3分だった。
(てか、もらって何ができんだよ?せめてボールとられんなよー)
そして黒子がボールをもらった瞬間…
パッ
黒子はボールを素早く流すようにゴール付近にいたチームメイトにパスを出した。
「…え、…あっ」
驚くまま、ボールを受け取り、見事、ブロックされずにゴールを決めた。
「…え」
「…な」
「入っ…ええ!?今どーやってパス通った!?」
「わかんねぇ、見逃した!!」
(きたきた~!!黒子のパス!)
そこからは黒子のミラクルパスが連発で発動し、二年生チームは驚くばかりで手も脚も出ない状態だった。
「どーなってんだ、一体!!?」
「気が付くとパス通って決まってる!?」
「……!」
カントクは何かに気がついたようにコートを食い入るように見た。
「椿ちゃん…黒子君はまさか…」
「ミスディレクションを使ってるんですよ」