第1章 入学式ープロローグー
「データをとってトレーニングメニューを作る、毎日その仕事場で肉体とデータを見続けているうちについた特技…体格を見れば、彼女の目には身体能力が全て数値で見える」
男子の先輩はそう説明した。
(まあ、カントクたる所以はそんだけじゃないけどな…)
(ふーん…だから彼女がカントクなのか…)
カントクを見ながら頷く。カントクはある人物の前で立ち止まり、目を見開いた。
「…なんだよ?」
彼、火神大我だった。
(~なっ何コレ!?すべての数値がズバ抜けてる…こんなの高一男子の数値じゃない!!)
カントクの目にはどんな数値が見えているのか分からないが、もの凄いものを見ているのは確実だった。
(火神大我か…面白そうだな…)
彼はまさに天賦の才能を秘めていた。
「カントク!いつまで見てんだ?」
「え?あ、ごめん!えっと…」
「全員見たっしょ?アイツでラスト」
(ん?あれ、黒子は?まだ、見てないんじゃ…)
「あっそう?…れ?」
カントクは何かに気がつき、キョロキョロと辺りを見る。
「黒子君ってこの中にいる?」
「あ!そうだ!帝光中の!」
「え?!あの帝光!?」
帝光中と聞いて慌てふためく先輩達。早速、黒子を探す。…が見つからないのが黒子だ。
「いないみたいね、いーよじゃあ、練習始めよう!」
「あの…スミマセン」
今まで静かにしていた黒子がカントクの前にやってきて…
「黒子はボクです」
とここにいるとアピールをするように言った。