第1章 入学式ープロローグー
「その話、持ち出すなぁあ!!!」
先輩達からも「え?お前らマジでどんな関係だよ」という目線を受けた。こいつに喋らせたらあることないことベラベラ喋りそうだ。
すると…
バチィ
「っと!?」
突然、黄瀬に向かってボールが勢いよく跳んできた。それを黄瀬は素早く反応して取る。
「ったーちょ…何!?」
ボールが向かってきた先を見れば、火神が闘志剥き出しで黄瀬を睨んでいた。
「せっかくの再開中ワリーな、けどせっかく来てアイサツだけもねーだろ、ちょっと相手してくれよイケメン君」
それには先輩達、カントクも驚く。
「火神!?」
「火神君!!」
火神の申し出を黄瀬は少し悩むように唸った。
「えーそんな急に言われても…あーでもキミさっき…」
黄瀬はあれこれ考えた末、上着を俺に預けてきた。仕方なく受けとる。…これ、火神は負けるな。
「よしやろっか!いいもん見せてくれたお礼」
「…!」
その言葉に黒子は何か気づいたらしい。
「…っもう!」
カントクは言うことを聞かない火神に苛つきながらも呆れた。その後ろで黒子が表情変えず言った。
「マズいかもしれません」
「え?」
「…あぁ、マズイな」
「椿ちゃんまで…」
コートでは火神と黄瀬が向かい合うように構えていた。ボールは黄瀬、火神はディフェンスから始めるようだ。黄瀬が動き出す。
そこからはまるで一瞬だった。
「彼は見たプレイを一瞬で自分のものにする」
黄瀬はさっき、練習で火神が華麗にやってみせた動きをそのままやってのけた。
「…なっ!?」
ゴールを決める黄瀬に負けじと火神も食い下がる。
「うおっ火神もスゲェ!!反応した!?」
だが、火神のブロックも空しくあっさり黄瀬にゴールを決められた。