【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !
第2章 夏に濡れ衣ぎを着させたい
。。。。
あれから俺の、心の騒めきは収まらんかった。
どうも歯切れが悪いんよ。俺の勘がまだそう言ってるんや。このまま終われると思うなよ。
ここまで来たら、アイツの顔拝むまで絶対このよさこい祭は終われへん。
屋台の分担が終わって丁度暇してる頃やった。突然、背後から「侑!」と名前の呼ばれ振り返る。
「中野やん、どなんしたん」
「 角名しらん? 今治も実行委員の集まりでおらんくてさ、電話しても出ないからなんか繋がってへん?」
屋台近くの車道を行進する踊り子をじっと見ていると慌てた様子でオレンジのTシャツを着た角名の同級生である中野が慌てた様子で俺んとこに来た。
任せとけと言わんばかりに、最終兵器を取り出すようにスマホの画面を中野に見せつけながら角名の電話番号から位置情報を二人揃って確認する。電源は切ってない。現在進行形で、本部に向かって動いとった。
「まじかよ、何してんだよ角名」と頭を抱える中野。
絶対角名片づけサボってるやつやんコレ。
「本部なら、俺暇やしついでに行ってくるわ」
「マジ!? ホンマ助かるわ!! 俺もう戻ってもええ? まだやることあんねん」
「おん、あとでそっち連れてくわ」
「ほんま!? 助かるわ! ついでに一発かましてもええで!」
そう言いながら走り去ってく中野に「貸しイチやで~!」と背中に向かって叫ぶと陽気にグットサインが返って来る。
ほんまに分かっとるんかいな、と半信半疑に微笑を浮かべながらも、丁度ええ理由も出来たし、本部に行っても追い出される理由はなくなった。
角名の位置情報を頼りに本部へ向かい、中野には申し訳ないけどついでに水田さんを探しながらふらふら歩いとると、本部近くの公衆電話の道端で角名ともうひとり、位置情報には記されてない知らない男の子が一緒におった。
男の子と言っても、年齢は十三歳前後で、背は少し低いようにも見える。