【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !
第4章 喧嘩は二度と止めたくない。
「もう、稲荷崎の試合って終わっちゃいましたか?」
制服を着た女の子達がそう私に問いかけた。しばらく突然声をかけられたことによって硬直するも、すぐに自分がウィンドブレーカーの下に稲荷崎の制服を着て来ている事に気付いて失笑する。すごいな、スカートだけでわかるなんて。
「まだやってますよ、始まったばっかりです」
東京の女子高生だろうか、兵庫では見たことない制服だった。嬉しそうに「ありがとうございます!」と、お礼を伝えると楽しそうに、でも小走り気味に早く試合を見ようと体育館へと向かう私と同じ女子高生達を虚ろな目で見届ける。高校の全て、土台から構築された人生はきっとなにもかもが楽しいだろう。私も、早くあれに気づいていれば。もっとこの場所を楽しめたかも。いいや、まだ私には早計かも。全部、何もかも。
(............みんな楽しそう)
体育館へ向かう人混みに逆らって歩く私は、変な人に見えるだろうか。嗚呼、また嫌な記憶が蘇って来る。私はこれで正しかったんだ。私はバレーで食べていくわけじゃない。
まさか、こんな、誰かに嫉妬するなんて。.........私らしくない。最近、どうしちゃったんだろう私。確かに、今日三時起きだったし疲れてるのかも。
大学、どこに行こう。将来何になろう。進路とか、学びたいこととかないし、とりあえず東京の大学に行くことしか決まってないし。結局何がしたいんだろう私って。ホテルへ向かう電車内で、ずっとそんなことを永遠と考えていた。