【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !
第2章 夏に濡れ衣ぎを着させたい
「治実行委員一緒やろ。知らなかったん?」
「俺が知ってるんは来ないっちゅうことだけや」
「係一緒なら共有するやろ普通」
「そう言えば、お前焼きそばどうしたんや。俺の分」
「お前んとこに人数分先に置いてったで、この棒が証拠やろ負け落ちオレンジ」
「俺は暇人のお前らと戯れてる時間なんてないねん」
食べかけのきゅうりの浅漬けを治の目の前でブンブンと回すとそこそこの力で二の腕にグーパンチが返って来る。
「痛…ッ⁉」と声を上げると角名が「何やってんねん」とノールックで突っ込んでくる。
水田さんがいない所為もあってか、少し忙しそうな素振りで足早にその場を去ってく治。
すると、角名が顎に指を置きながら空いていた片方の手を俺の方に置いた。
「公欠じゃなくて出席扱いだったから多分祭には出てるんじゃないの? 二年生の行事よりも優先するべきことで、出席扱いになる………例えば」
「あの集団の人間とか」
角名が車道で行進する踊り子を指差した。
キュウリの浅漬けに歯を立てながら「ふーん」と喉を鳴らした。
「角名会ったん?」
「会うわけ。そもそもそんな一瞬じゃ分からん。顔出してるとも限らんし、あくまで推測」
(推測ねぇ…………)
パキパキと口の中で咀嚼音が鳴る。
段々と噛むスピードが遅くなる。代わりに引っかかるなにかが、確信へと変わった。