【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !
第2章 夏に濡れ衣ぎを着させたい
「今度会わせてや、小学生? 中学生? どこの学校行ってるん?」
「コンドネ」
「嘘つけ! 会わせる気ないやろ!!」
もう言い訳するのもめんどくさくなり、顔を上げ虚な目で精一杯の苦笑いを浮かべてはその場を受け流す。身内まで手を出されたら人生すら巻き込まれそうになるから絶対に会わせる訳にはいかない。弟を彼に会わせてはまずい。
これは長女である、姉である私の強い本能がそう言っている。
雑に退かされた鞄に手を伸ばして掴むと、鞄を抱き上げ「あ! お久しぶりです! この前はお菓子とか、色々ありがとうございました!」と言うと、座っていた侑くんが突然バッと立ち上がり私の声の先へと振り返った。
その隙に私は傘立てから傘を引っこ抜いてパタパタとまだかかとが浮いたままのローファーで玄関を後にする。
背後から「居らんやないかい……………ッ!!」という声を聞き流し逃げるように帰宅した。