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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第2章 夏に濡れ衣ぎを着させたい


。。。。。



「………あっ! なぁ角名しらん!?」
「知ってるわけないじゃん…………………」

 放課後、下駄箱前にある学校の掲示板を眺めていると、偶然部活中の練習着を身にまとった侑くんが視界の横からひょっこりと現れた。
「少なくともここは通ってないよ」と、よさこい祭りで通行止めになる道路の注意書きを見ながら助言すれば「アイツほんっと、どこ行ったんやまじで……」と大きなため息を吐いていた。おそらくその後、あの信介先輩とかいう怖い先輩に怒られるに違いない。

「あ、そう言えば……最近バイト行ってない?」
「え? ……まぁ、行ってないよ。だって………、ッ?!」

 引き続き角名くんの詮索に向かおうとする侑くんは、ハッとしたかのように足を止めた。「最近バイト行ってない?」唐突な質問に私は反射的に口を開け言いかける。言いかけて私は掲示板から勢いよく侑くんに視線を向けた。
 眉間に皺を寄せながら侑くんから一歩距離を取ると、侑くんも何かを察したように慌てて私の鞄を掴んだ。

「ちゃうって!! 後付けてるんちゃうで!? うちのおかんに話したら、会ってみたいって言うから、この前の時間帯教えただけやで!? ほんでまだ会ってないっていうからおかしいなって思ったんや! ストーカーちゃうで!?!!?」
「あ゙〜! わかった!! だから鞄掴まないで重い…ッ!!! この時期はいつも練習で行ってないの!!!! 今日もこの後、」

 途中で「練習?」と侑くんの間抜けな声でハッとなる。
 嗚呼、いっつもこうだ私。いつも皆のペースに引きずり込まれる。

 口の中で舌を回しながら、動揺を隠すようにゆっくりと視線を逸らして鞄を持ち直してごまかした。
 あきらかに異様な沈黙が続いた。侑くんが顔を覗きこんで来ると私は身体ごと避け視線をそらす。

「………………………そう、弟の練習相手」

 そう吐き捨てて下駄箱へと向かうと、なぜか侑くんが飼い犬のごとく後を付け「へぇ、弟おるんや!何の練習に付き合ってんの?」背後から問いかけられる。
 いやいや、どう考えても雰囲気的にも今ので区切りだろ。


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