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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第2章 夏に濡れ衣ぎを着させたい





「それに水田さん、一年生の頃からずっと大人しい人やと思ってたけど、話すと意外と喋るよな」
「……そうかな、」

 そう聞かれ、手に付いていたチョークの粉を拭い少し悩んだ後、適当な言葉を吐き捨てた。

「喋ってみると、意外と面白い。同じクラスなのに損した気分やわ。 ………まぁ、そう考えたらクラスの男子と喋ってるとこあんまり見たことないわ」

 私が口を開きかけた時、治くんのスマートフォンのアラームが鳴ってビクリと肩を震わせた。話し合いの時間が終わり、慌てて黒板の前を向きチョークを持ち直した。
 カツカツと出た意見や案に腕を走らせる。

―――なんだろう。

 解決したはずなのに、ずっと胸に引っ掛かったまま取れない違和感にどことなく不信感を感じていた。
 リンゴを食べたのにリンゴの味じゃなかったみたいに、そしてそれがなんの味かもわからないみたいに―-―。
 全部の班が案を出し切っても、私の違和感は消えなかった。

 伊藤先生から貰ったよさこい祭りへの出店書類に、屋台に丸を付け、空欄に棒屋さん(フルーツ、飴、浅漬け、卵焼き等)と、結局みんなで絞り切れなかった案を一通り書き込んで、採用する可能性が高いものに丸を付けて仮提出する形となった。


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