【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !
第1章 喧嘩止めたら殴られた。
「あ、でも今日授業中角名くんに痣を思い切り押されて痛かったので……痕長引くかもしれないです………」
昨日の状況を見るに、この先輩にあの三人はきっと逆らえないでだろう。私はあからさまに頬をさすり、やってやったと言わんばかりにチラッと角名くんを見た。俯きながらプルプルと拳が震える角名くんに治くんも同様に横目で見ると肘で突きながら「自業自得だぞ」と、小声で言う。本当にその通りだ。侑くんは何のことかと頭に?を浮かべて呆然と立ち尽くしている。
「……おい」
「……はい」
「謝れや」
「すいませんでしたァ!」
ピンチをチャンスに変えるということは、こういうことを言うのです。今までやってきたことと、面白半分で付いてきたことを存分に後悔するがいい。
「じゃあ、私バイトあるので……いいですか?」
「ああ、ごめんな。時間取らせてすまんかった」
「いいえ、大丈夫ですよ。むしろわざわざこんな機会を作ってくれてありがとうございます」
「なんや、バイト許可取ってやってんや…………どこでやってるん?」
するとそう侑くんが問いかけてきた。
稲荷崎高校は学業優先の為、基本アルバイトは禁止だ。でも学校にアルバイトの許可書を出せばバルバイトはやっていいことになっているめんどくさいシステムだ。
「……………パン屋」
「ここな辺、沢山あるやん」
一瞬、その質問には困ったが渋々言い返す。
遠まわしに言われた治くんの返答。意味は、もちろん分かっている。けど、関係ないよね。私がどこでバイトしてようと。