第5章 リップクリームチャレンジ【アドナキエル&スチュワード】
「んっ、むぅ…?!」
後頭部に大きい手が回って身が引けずに、薄く開いていた隙間から舌が入り込んできた。
「あ、ズルい。俺もしたい、俺もっ」
言い方と服を引っ張ってくる動きが可愛い、と思った途端に離れて行った。あぁ、してやったりの顔をしている。
「ごめん、我慢できなくなった。…味分かった?」
「はっ…わかるかぁ…」
「じゃあもう一回しよ?」
「もうしないってば、ちょ、スチュワード…は、離せーっ!」
体を持ち上げられてクルリ、と半回転した。必然的にスチュワードと向かい合う座り方になった。これは恥ずかしい。
「ダーメ。次は俺だよ」
「ちょ、うえぇっ?!お、重い!!」
そこに何を思ったか、後ろからアドナキエルがのしかかって来た。結果的にスチュワードを押しつぶすように三人一緒にベッドへ倒れた。
「だってまだ味当てられてないから、僕の番続行なんだよ」
ケロ、としたように言う彼は全然重くなさそうな涼しい表情で言った。一方真後ろではブーイングを飛ばしながらバタバタと暴れている天使が大人げない。
「スチュワードばっかりだ」
「いっつも一人独占してるんだから少しは我慢して」
「ね…どうでもいいけど重いよ…」
「アドナキエル、退きなよ」
「嫌だよ~」
「はぁ…まったく………!っ」
「スチュワード?」
起き上ろうとした彼は、一度大きく目を見開いた。
その後ギュ、と目を瞑って少し上げた上半身をまたシーツの海に沈めては、前腕を目に置き、大きなため息を吐いた。