第1章 はじまりは
「何だ……お前もユウと同じで迷い込んで来たんだな。」
「ほらな〜?やっぱり違うじゃねェか。疑って損した!」
グリムくんも納得をしてくれたそうだ。どうやらこのグリムくんは監督生さんのことが大好きらしい。2人もいつも監督生さんと行動を共にしているらしいし。
「オレはエース。エース・トラッポラ1年、よろしくな。」
「僕はデュース・スペード、同じく1年だ。お前は?」
「よろしく……私は。」
次の時間はお昼らしく、2人と1匹についていって食堂へと向かった。すごい人だ……魔法学校ということもあるのだろうか、動物の耳が生えてる学生や角が生えてる学生がちらほらと見える。
「おお……あの耳ちょっと気になる……」
「ん?あぁ……あれはサバナクロー生だよ。」
「サバナクロー?」
エース達の話によると、ここナイトレイブンカレッジは6つの寮があるらしい。エース達はハートの女王の厳格な精神に基づく寮、ハーツラビュル寮に所属している。
「……でも何でハートの女王?ハートの女王ってヴィランズだよね。」
「ヴィランズ?それは知らねぇけど……ハートの女王っていえばグレート・セブンの1人だよな。」
「……………グレート・セブン??」
「………あー、そっか!!お前もあいつと同じところから来たから知らねぇのか!」
グレイト・セブンというのは、このツイステッドワンダーランドで伝説となっている「この世界にかつて存在した偉大なる存在」のことだという。この学園に通っている生徒はみんなグレイト・セブンに憧れているらしい。(公式調べ)
「ヴィランなのに………憧れるなんて、ここはヴィランズ育成学校なのか……?」
「ヴィランズ?ってのは分かんねぇけど、グレート・セブンはオレ達の憧れだよ。」
「へぇ〜……」
普通憧れるって言ったらプリンセスを助けた王子様とか、英雄とかじゃないのかな。どうみてもこの2人が悪党だなんて見えない。……って、そんなことを話しているうちにお昼休憩が終わってしまう。早く監督生さんを探さなくちゃ。