第1章 はじまりは
「ユウはどこなんだゾ?」
「………ユウ?」
「そうだ!!ユウは俺様の子分なんだゾ!!お前がいたところにいたはずなんだゾ!!」
私がさっきまで寝ていたベットを叩いて主張をする猫さん。子分ということは、子猫とかかな…?というか……眠くて周りを見てなかったけど、ここどこだ?私の住んでるマンションではない…よくみると何となく廃墟っぽいような。
「ふなっ!?ヤバイんだゾ!!遅刻するんだゾーーーっ!!!」
私に色々聞いといて慌ただしく出ていった猫。結局猫が聞いてたユウって言う子はいいのかな…というか遅刻?
「…………ケホっ、」
とりあえずここはホコリが多いみたいで、息が苦しくなった。廃墟から外に出てみると、綺麗な朝日に照らされて見えたお城のような建物が目に入った。いや、これ本物のお城だ。棒お城のような見た目だ。すっご、なにこれ…日本にこんな建物なんてあったっけな。
「というか………ここどこ?」
周りを見てもさっき出てきた廃墟に見覚えはないし、このお城も日本にある建造物だとは思えない。そもそもここは日本なのか?何か森の中っぽいし……なんてお城を見上げながら歩いていると…
「うっ…」
「………、」
誰かとぶつかってしまった。上ばかり見てたから、廊下から人が通ってきたのなんか見ていなかった。頭を抑えて見ると、長身のイケメンが…
「大丈夫か?」
「すみません!!」
「ちゃんと前を見てお歩きよ。…って、」
長身のイケメンの影から出てきたのは赤髪のイケメン。というか…子供?いや…高校生だろうか。2人共ちょっと頭良さそうな制服を着ている。
「女の子か……?何故この学園に?」
「学園長の来客じゃないかい?それにしては軽装だけど……」
学園ってことはやっぱりここは学校なのか。こんなお城みたいなところが学校だなんて…どんだけのお坊ちゃん学校なんだ。赤い髪の男の子に言われて自分の服装を見る。パジャマだ…軽装どころじゃない。目の前の2人はキチンとした制服、私はダボダボで安眠快適に特化したパジャマ。カカカ、と顔が熱くなる。