第7章 前の会社
メールを確認し終え、
状況を知る部下たちの方に目をやる。
「安村。湊は?」
「なんか、血色悪い顔してたんで、
とりあえず主任が来るまで、誰の目にも触れないようにミーティングルーム借りて、隔離させてもらってて…」
「隣りの課だけでなく、
上や下の階にも送られていたみたいです」
「そうか、ありがとう…。
湊のことが気掛かりだろうが
おまえたちは普段通り仕事を続けてくれ。
もし、課長や部長が顔を出したら、
先に携帯の方に連絡をくれ」
「分かりました」
俺は部下たちに仕事を任せ、
ミーティングルームへ足を運ぶ。
(デマじゃなく確証だとしたら…)
湊がこちらへ転社してきた理由。
無差別や特定ではない、
一斉メールでの大規模な嫌がらせ。
コンコン…
「湊。入るぞ」
そうだとしたら、
全力で守ってやるのが俺の責務だ。