第7章 前の会社
気兼ねなく湊と呼べるようになったが、
それを知った部下も
もっと親しみを込めてと申し出てきたが、
ほぼ苗字でイメージが完成して
しまっている部下たち。
今さら感があり、サラッと断った。
午後の会議が終わって部屋に戻ると、
顔を引きつらせた安村が小走りで
目の前に立った。
「主任!!
ちょっと、だいぶ大変なことがッ!!」
「社内で走るな。
ちょっととだいぶって、何があった?」
「め、メール!メール見てください!!」
「?」
走らないように早足で自分の席に戻り、
メール画面を開く。
部下たちは全員曇った顔。
だが、
いつも姿勢を正している1人…
湊の姿がどこにもなかった。
「これは…」
送り先不明の匿名メールには、
大きく太い書体で
痛烈な言葉が並んでいたのだった。