第42章 モデル
翌日、竹ちゃんは2つのハードワックスを持って登場した。
「色々みて買ったんだけど、これで何とかなるか?」
「うん、大丈夫。あとは硬い髪質の人はツヤ感あった方が清潔感がでるし、ジェル系とセットにして使うのが良いかもしれない。ドライヤーないからアレなんだけど…、分け目とかこんな髪型にしたいとかってある?」
「ある。■■さん。センターよりちょっと右に分け目作って、こうしたいって美容院さんに言ったらその通りにしてくれたんだけど頭洗ったら呪文が解けた」
「プロは違うってことだな」
一時は満足できたということは復元できる。
アキは女子に手鏡を借りてくれ、イメージ像を目指してセッティングしていく。
やはり濡れ髪の時のドライヤーの大切さ。
竹ちゃんのワックスのほかに、俺が愛用しているセット力が強いワックスでキープさせる。
ああ言ったりこう言ったりして竹ちゃん自身も進んで再調整しており、実感したように頷いてくれる。
「おー、成程!これなら出来る気がする!!」
「完成系?随分男前になったな」
「そうコレだよコレ!美容師さんがやってくれたやつ!!大ちゃんギターできるし器用かと思ったけど、ユウの方が断然器用だな!へへっ、マジでありがとう!!」
「えへへ、喜んでもらえたなら良かった」
「あとはジェル系ワックスか。どういうの買えばいいんだ?」
竹ちゃんは大いに喜んでくれて顔が生き生きしている。
女子のクスッとした声も聞こえたが、竹ちゃんの素材は決して悪くない。
むしろ痩せたら化ける。
クラスメイトはおろか、アキの周りにいると男女ともに自然と垢抜け化が進む。
それと同様にイケメンレーダーが働いているのだ。
「目標まであと14kg。アキのお兄さんみたくなれるかなぁ」
「タケなら出来る。それに大ちゃんも呼んでちょっと話したいことができた」
「なに?今此処で言えないこと?」
「そうだから言ってる。昼休み屋上でな」
「お…おう」
「ユウも」
「う…うん。分かった」
話したいことができたって何だろう。
今日思い付いたような雰囲気。
でも何だかアキを見ていると楽しそうな顔をしていた。