第1章 ~牛垣武明の場合~
携帯に保存していた写真を見せると、
話し掛けてきた男社員のほかに
女社員もこぞって携帯を覗いてきた。
「上手に描けているだろう?」
「わあ~!お上手ですね!」
「さすが主任の息子さん!
お顔もだんだん整ってきましたね!」
息子はみるみる成長し、
体重も重くなった。
これから俺のように大きくなり、
身長を抜かすと思うと
少し複雑な気分にもなる。
「終業時間はまだ終わってないんだ。
話しが済んだのなら席につけ」
「はーい」
俺は自分の話したいことだけを話し、
部下たちに仕事するように仰ぐ。
「……?」
ふと目をやると角と目が合った。
それはすぐ逸らされ、
コンピューターに姿勢を正している。
(アイツも行くんだろうか…)
飲み会の話しには参加していないように見え、
それはそれで気がかりになった。