第5章 髪
それから角も
だんだん雰囲気に慣れてきて、
一人で撮れるようになった。
その様子を見ながら水を飲んでいると、
「アキ。
写真撮ってる最中、
湊くんのこと口説いてたろ~?」
「聞こえてた?」
「ホントおまえって、たらしだよな~」
「仕事ができる、って言ってくれ」
「えへ。そうとも言う」
少なくとも俺の言葉で、
人前で写真を撮られることに慣れたのは
俺のおかげ、だと思ってほしい。
これもまた、承認欲求。
横に立ったユウは撮り終えた写真を褒めてくれ、
俺も心も気分も満たされていく。
やはり持つべきものは「友」だ。
最後にヘアスタイルを担当した
ユウとも一緒に写真を撮り、
ぶざけあった写真は載せないで、
角の承諾も改めて得てから
ユウはSNSに投稿した。
ユウはまだ仕事があり、
角と二人で美容室を後にした。