第5章 髪
街中を少し歩き進めると。
「あの、主任っ!
本日は本当に、
ありがとうございましたっ」
「おう。
最後は楽しそうにやれてたみたいで良かった」
「何もかも…牛垣主任のおかげです。
それであの…
この後、ご予定とかってありますか?」
「予定って程じゃないが、
ちょっと身体動かしてから、
家帰って夕飯食おうって思ってたが…。
俺とデートしたかった?」
「えっ、いやっ、そのっ」
「はは、テンパり過ぎ」
打ち解けた雰囲気があって、
口にして見たら期待通りの
嬉しい反応を見せてくれる。
「角は部活入ってたのか?」
「いえ、帰宅部です…。
主任はなにかやられてたんですか?」
「小中はドッジボール部で、
高校は応援団の長ランに魅力を感じて、
2年のときに応援団長もやってた」
「へえ~!格好良い…」
子どもなら誰でもやったことがあるドッジボール。
学ランみたら男の血が騒ぎ出す憧れ。
職場ではクールに振舞っているから、
大抵は意外だと驚かれるのだ。
一緒に汗掻くかと誘ったが
角に振られてしまい、
その場で別れたのであった。