第42章 モデル
「わ、分かった…。お前に本気で見られたら調子狂う…」
「そういうつもりで言ったんじゃないんだけどな」
「そうサラッと交わすなよ!!でも、恋煩いにならなくて済みそうだわ!!」
「なら良かった」
温暖さが激しい。
熱のある台詞の次は冷めた態度。
完全に竹ちゃんはアキに振り回されている。
なんかもう犬のリードが見えてきた気もする。
「あと、あんまり期待はしないで欲しいんだけど来月号に枠取れたら載るかも知れないって」
「マジかよ!!いつ発売!?」
「Q-BOYSだから9日発売だよ」
「Qと9、成程…。絶対買う!!」
「載るかもだからな。断定はできないからな」
「かもしれないけどその可能性に俺は賭ける!!スカウトってしょっちゅうされてたのか…?」
「周辺で用事すませてくらいにはな。中学んのとき身長何センチだった?」
「俺は…」
身長、体重、座高、聴力、視力。
特に身長は裏技があるとジャンプしたり、引っ張ったりと堂々と足掻いている男子たち。
「ユウは?」
「164くらいだった気がする」
「頑張れユウ」
「う~ん…。竹ちゃんまではいらないかなぁ」
「何だと!?タケノコのようにすくすくと、この俺が羨ましくないだとぉ!?」
「180以上ほしいよな。俺はメチャクチャ羨んでるぞ」
「アキはギリ180行ってるんじゃね?7cm差ってこんくらいだろ?」
「俺も髪の毛立てようかな…」
「これはドーピングじゃねぇよ!!短い方が好きなのに勝手に前髪浮いてくんだって…。どうすりゃいいの?」
竹ちゃんの髪は硬い直毛。
アキはそれを楽しんで手を置いたり離したりしている。
前に雑誌で読んだことがあった。
直毛のヘアスタイルについて。
浮いたり立ったり膨らんだり跳ねたり、高校生のうちは制服というアイテムがあるからファッションセンスはバレにくいだろうが、ヘアスタイルに関してはモロ目に入ってしまう。
身長は高いのに浮腫んだ顔ももったいない。
アキのお兄さんに習ってムキムキボディを目指すなら、ヘアスタイルだって何とかしてあげたい。