第42章 モデル
「そりゃスゴイな。ユウの好きな雑誌モデルの仕事か」
「うんっ!たまたまね、俺のファッション雑誌でオシャレ勉強したいって勉強教えてもらう代わりに家に来てもらってたんだけど、まさかこんなことになるとは思わなくって。やっぱり津梅さんに直接会ったからかな?津梅さん格好良いオーラ発してたからなぁ」
アキは東京出身東京育ち。
過去に芸能人に会ったことはないのだろうか。
出没情報のある区域はあるらしいけど、そういうのは間違った行動だと思うし、お金を払って会いに行くのが一番よい方法だと思ったり。
「バイトでモデルを選ぶなんてまず発想が凄いよな。スカウトですぐ始められるなんて騙されてるんじゃないかと疑いそうになるが」
「津梅さんも知ってるスカウトマンからの話しだし、来月号の写真を撮るって言ってたよ?」
「来月号?」
「うん。ギリ編集が利くかもってことで写真の準備だけ」
「たまげた。東京ぶっ飛んでんな」
「ぶっ飛んでんのは敏腕編集者の方だと思うけど…」
だとしても飛び抜けた出世だ。
グランプリを飛ばして謎の時期の異例のデビュー。
他のスカウトマンたちもアキを誘い込もうと本気だったのだろうか。
全然そんな感じじゃなかったけど、話題になるなら業界もお金になるし。
アキは勉強も英語もできるし、アクロバット、ダンスや歌もできると話していた。
何だかこれからどんどん有名になっていく気がする。
「今のうちにサイン用紙買っておくか」
「お父さんもアキのファンになるの?」
「祐次郎の友達ってこともあるし、純粋に心から応援したいと思ったんだ。来月のいつ発売されるんだ?」
「毎月9日だよ。Q-BOYSだから9日発売」
「Qと9か、覚えやすいな。お父さんはコンビニで立ち読みしてくるか。後で家に帰ったらじっくり見させてくれ」
「あと2週間先かぁ…。楽しみだなぁ…」
ゴールデンウイークを終えたらアキが雑誌に載る。
次号巻頭は人気アイドルということもあって購入する人も多いはず。
その前にまずはホームページの確認。
学校開けが楽しみだ。
早く月曜日にならないかとニヤニヤしながら布団を被ったのだった。