第42章 モデル
アキの行動は尋常じゃなく早かった。
というか、お母さんが応援してくれる側だったから話が早かったのかもしれない。
休日のメールにQ-BOYSのモデル事務所と、平行してプロダクションであるQUADERNOと契約を結んだと連絡がきた。
「こんなにポンポン決まっちゃうんだ」
写真撮影も当日。
しかも、事務所側は芸能界を遠ざけていた背景があったことから、本名を隠して芸名での活動を勧められたとも書いてある。
「スゴイなぁ…。芸能活動するってことは芸能人だ」
俺の大好きな雑誌。
来月からQ-BOYSの専属モデルとしてアキは芸能活動を行う。
QUADERNOは力を付けてきて、人気俳優さんたちを輩出している芸能事務所。
その波に乗る。
実現すれば共演だって…。
「うわぁぁぁ…やばい。やばいどうしよう!!想像するだけで鳥肌立ってきた!!」
津梅さんと同じ仕事をする。
足を踏み込んだ中途半端は許さず、きっと全力でこなす。
勝ちたいし楽しみたい。
もしかしたら津梅さんより大活躍して、テレビでよく見る俳優さん達と肩を並べるかもしれないと思うと興奮して居ても立ってもいられなくなる。
「あーやばい、やばいよっ!!本当にどうしよう!!興奮して眠れない!!」
「ただいまー…って、春でも来たか?」
「と、お父さん…!!」
悶々としている所を父親に見られてしまった。
メチャクチャ恥ずかしくて姿勢をぎこちなく戻す。
「お、ぉかえり…」
「ただいま。で、携帯持ってどうしたんだ?デートのお誘いか?」
「い、いや…そうじゃないんだけど…。アキが、アキがねっ」
「とりあえず落ち着け。牛垣くんがどうかしたのか?」
興奮気味で話すと呼吸が荒くなった。
父親は諭すと少し落ち着いた俺は、アキが芸能活動をはじまることを話した。