第42章 モデル
「お父さんっていくつ?すごい若々しいね」
「今年で45だな。ユウのお父さんは?」
「41だけどアキのお父さんみたいに格好良くない。痩せてる方だけど、お腹のとこポコッてしたの見たことある」
「気付かせるのはいいとして、それ本人の前で言ってやるなよ。お父さん傷付くぞ」
「俺も何もしないとお腹出てくるかな。筋トレって毎日何してるの?」
将来が心配になってまだ硬いお腹を撫でる。
メタボにはなりたくない。
いかにも不健康そうだ。
だからといってバキバキになるのも気が引けて、ずっと丁度良い体系を維持していきたい所だけど。
「俺は兄貴のようにゴリゴリに鍛えたいって訳じゃないからな。まず食事と睡眠は基本、目に見えるところは歯やスキンケアを大切にしてる。ユウも美容男子ってやつだな」
「あーこれは、津梅さんが愛用してるって書いてあったから何となく」
「適度な運動は走り込み以外に腕立て伏せ、腹筋・背筋、懸垂、片足スクワット。体が訛らないようにバク転バク宙したり、気分に合わせて3時間ぶっ通しで歌って踊ったり、あとは気功だな」
「きこう…?」
「中国って聞いたらますます怪しくて信じ難いだろ?」
「う、うん」
「正直でよろしい。俺のお袋が医療従事者でさ、医療気功を取り入れた鍼灸や指圧マッサージ師として病院行ったり、老人ホーム行ったり、開業したりして周りの評判は結構良いんだ」
「へえー。もしかして俺の頭撫でたのも?」
「俺はまたそのレベルじゃない。あの時は口で言ってみただけ」
ニヤッと笑って俺は詐欺師だという。
でも、あの時は本当にスッと晴れたような気がした。
「でも、アキを見てるとエネルギーを貰えるっていうか、そんな感じがあって…」
「若い子みたら元気になるじーちゃん、ばーちゃんも同じこというけど、気功は気持ちを穏やかにさせる効果もある。分かりやすく例えるなら、背筋を伸ばしたりすると気分がスッキリするだろ?」
「うん」
「気功、ヨガ、呼吸法も同じ体操だ。ちょっとカンタンなのやってみるか?」
「うん。やってみたい」