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【R18】Querer【創作BL】

第42章 モデル



頭の中の「可愛い」を消したくて、適当に思い付いた話題を口にする。



「でもそっかぁ…。アキが格好良い服着てるの見たかったなぁ…」

「俺の私服、まだ見たことないだろ。オシャレとは程遠いが」

「洋服、自分で買ったりしてるの?」

「いや…。ほとんど動きやすい格好ばかりだったし、Tシャツ、ジャージ、スエット、出掛けるときは兄貴のおさがりの服着て…ってあれ。いま思ったが俺ってめっちゃダサい?」



機能性重視の格好。
ファッションに全く興味がないアキは兄弟らしくお兄さんからのおさがりの服を着る。

あのお兄さんのファッションセンスまでは分からないが、少なくともスタイル抜群のアキがなにを着てもスマートに着こなしていると思うのは少々盛り過ぎだろうか。



「そういやユウって雑誌買ってるんだよな?津梅さんが出てる奴」

「うん。月刊誌だから毎月買ってるけど…」

「ならさ。俺が英語教えてやるかわりに雑誌見せてくれないか?学校でやったら落ち着いて出来ないし…。俺ん家でも良いけど、ユウん家はここから近い?」

「隣駅から徒歩5分だったかな。近いところに越してきたんだ」



学校じゃなく家で勉強。
部活やバイトでお互い時間が合わないかもしれないけど、アキはファッションに興味を持ち始めているし、もっと仲良くなりたい。



「…俺ん家、父子家庭なんだ。だから遅くまで親いないし…アキさえ良ければ俺ん家でもいいよ」

「!…いいのか?家行っても」

「うん。あんまり広い家じゃないけどね」



2DKの駅近マンション。
たまたま運よく築5年の新築マンションへの引っ越し。

23区内、駐車場あり、ファミリー向け物件で10万以下で見つけられたのはラッキーだと父は言っていた。
地域とか家賃の相場とか俺には全く理解できないし、興味もないから聞かされても右から左。

東京にきて色んな所に遊びに行ってみたいけど、線路が入り組み、モタモタ歩いて周りに迷惑かけたくないし、怖い人に絡まれたくないし、でも行きたいからしっかり下調べをして行くのにも時間がかかり、外出するのだってすごい勇気がいるのだ。


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