第42章 モデル
どこにいても目立つアキ。
アキの後ろを歩いていいのかとさえ日を追うごとに思う。
場違いなんじゃないか。
勘違いしてるんじゃないか。
天狗になってるんじゃないか。
俺の金髪は悪い意味で目立つ。
「ユウ」
「っ」
「どうした?」
アキと並んで歩いていた竹ちゃんも一緒に振り返る。
折角、あだ名を付けてもらったのにアキの側にいると息苦しい。
勇気をもらえるけど怖い。
友達でいたいけど怖い。
近過ぎて怖い。
アキが裏切ったり仲間外れにするような性格ではないことを理解してるはずなのに、周りがそれを許してくれない気がする。
「な、なんでもないよ」
傍から離れたい。
遠くから見本にしたい。
それくらいが自分にはちょうどいい。
アキのせいじゃないけど、自分が勝手に思ってるだけだけど、周りのせいにして押し潰されそうになる。
考え出したら虚しくなって涙が出てきそうになった。
ネガティブ思考に陥らないように視線を逸らす。
それで自制心を保つことができる。
「大丈夫」
「?」
「どうしたって聞いて、なにが大丈夫なんだ?」
アキは頭をふわりと撫でてきた。
俺の心の声が聞こえていたのか、ふいに頭を撫でる行動にも驚いたけど、竹ちゃん同様にアキの"だいじょうぶ"の意味がまったく理解できない。
「大丈夫っつったら大丈夫なの。はい終わり」
「だから何が大丈夫なんだよ。仲間外れー」
「ユウの気が滞っているように見えたから、プラスのエネルギーを送ったんだ」
「きゅ、急にどうした?」
平然と次元がぶっ飛んだ話をし出すアキ。
俺がマイナスに憑りつかれていたから、アキはプラスのエネルギーを手のひらから与えてくれて緩和してくれた。
そう解釈するべきなのだろうけど疑問が晴れない。
「頭んなか、余計なこと考えなくなったろ?」
「う、うん…」
「それでいい」
「いや、俺には全然分かんねぇよ!!」
「竹ちゃんは元気バリバリだからな。凹んだら撫でてやる」
「いや分かんねぇって!!」
省略している気もするが理屈で説明できないらしい。
でも、何だが頭の中がスッキリしている。
あんなに頭の中がゴチャゴチャしてたのに、妙にスッキリした感じがする。