第39章 フラット *
オルフェとの関係性は否定する主任。
しかし、オルフェは自分が同じゲイだったとは。
そして主任に愛を告白してたとは。
「一作品目の時は佑都はまだいなかったから撮影中も割とガチで喰われかけてたな」
「っえ」
「大丈夫。あいつは"待て"ができるし、無理矢理なことはして来なかった。ただキスは拒絶しなかったからセーフラインだと思われてチュッチュされまくったけど」
「………」
「あいつが俺のことを本気で口説こうと多少合わせてたのかも知れないけど、オルフェとは波長が合った。生活し慣れてない場所だったり、プレッシャーやストレス、人肌の恋しさはあってまあ色々あったけど…超えてはない。これだけは断言する」
だとしてもキスはしていた。
カメラが回っていない場所で何回も。
生々しい話を聞いてしまった。
……セクシーすぎる。
オルフェはどんな気分だったのだろう。
少々気の毒な気もする。
気があることを知っていてなお、拒絶もしなければ断ることをしない受け入れてしまった主任。
主任自身も多少その気があった?
その時は無自覚だっただけで、現在は男である俺を受け止めてしまったし…複雑な気分だ。
「あれでは俺がされる側だったからな。オルフェの方が良かった…?」
俺が難しい顔をしているのに気付き、主任は訝しげに目を向けていた。
「あ、いえ…。主任の方が」
「嘘だ。俺自身ヘタだと思ってないがあいつのキス、すっごいエロいぞ。手が熱くて大きくて…、こうやってさ…」
「ン…」
オルフェに妬いたように主任はねっとりとしたいやらしいキスをしてくる。
唇を離すたびに吸い付いたリップ音がちゅ…と高く鳴る。
「浮気すんなよ。もう湊一人しか見えてないから…」
「主任……」
唇を付け合わせたまま後ろのベッドに雪崩れ込み、一夜を明かしたのだった。