第39章 フラット *
寝る前の準備をして歯を磨き終わると、主任はベッドの下に閉まっていた写真集を開いていた。
「!?」
「湊。俺のことオナニーで使ってた?」
「ちっ、違います!か、か、隠してたわけじゃ…」
「別に良いけどさ。怒ってないから安心しろ。俺の全部持ってんだな。これ真新しいけど最近買ったのか?」
「す…すみません…」
主任はまったく責める様子はなく、寧ろ嬉しそうな表情をしていた。
俺は正直に転社してからネットで牛垣明彦のことを調べてしまったことを述べた。
「成程な。別に謝ることじゃないさ。情報を鵜呑みにされるのは不本意だが、興味を持つのは悪いことじゃない。知りたいことがあるなら教えてやるぞ?俺は見極めた奴は信用してるからな。なんでも聞いて良いぞ」
「情報は全部赤の他人が書いたものなので信用はしてません。あの、これは本当にただの興味心なんですけど…」
赤司くんはああは言っていたけど聞いてみても良いだろうか。
「あの、ハリウッドで共演したその……」
「オルフェって男前だよな」
「あっ、はい」
「くくっ。疑うよなぁ、あれは。リアルな関係があったのか…気になる?」
主任は面白がっている。
女優とのラブシーンは何も疑わなかったのに俺的には最後の作品となったオルフェ・オーブリーとの関係が気になっている。
仕事以外でも交友関係を築いていたから疑う関係ではないのだろうけど…。
「お前になら話してもいいか…」
主任は少し重たい面持ちで口を開いた。