第39章 フラット *
「主任。小さい子の扱い慣れてますね」
「佑都の世話してたからな。
ちっちゃい子は素直で可愛いし
親戚の面倒も見てたから
楽しいくらいだよ」
「俺は何をしてどうして良いのか
困ってしまいますけど、
主任はやっぱりすごいです」
「親だから普通のことをしたまでさ」
子供が好きな主任。
どこか寂しげな横顔はきっと
大好きな佑都くんのことを
思い出しているのだろう。
だけど俺からは何も言えない。
何も言えないのがもどかしい。
主任はお土産屋さんによって
チョコクランチ、
甘納豆や野菜を買い上げており
夕暮れ時の車に戻る。
「悪いな。
ゆっくりできなくて」
「ああいえ。
主任の格好良い姿を見れたので
十分ゆっくりできました」
「なんだよそれ。
ユウみたいなこと言うな」
「あ、それでユウさんの事なんですけど
これからどうします?
俺の家、狭いですし色々と不便かと…」
「それもそうだな。
平日はユウの寝床で寝るよ。
土日は湊ん家に泊まる。
それでいいか?」
「はい」
土日は主任とずっと一緒にいられる。
それだけで十分幸せだ。
玄関ドアを開けて
扉が閉まると名前を呼ばれ、
ただいまのキスをされ驚いてしまう。
「なっ、なにを」
「外じゃシたくても出来ないからな。
冷蔵庫に食材入れておくが
料理できない訳じゃないんだろ?
帰ってきたらチェックするからな」
「が、頑張ります…」
「メニュー考えられないなら
俺が書いておくか?
余計なお世話?」
「い、いえっ、
余計ではないですけど
それくらい自分できますので。
大丈夫です」
「愛妻弁当はどうする?」
「へっ?!」
「あはははっ!面白れぇ…」
「揶揄ったんですか!?」
どうやら主任は
佑都くんの分も合わせ
自分で弁当を作っていたとのこと。
家事は家にいる妻がやるという
イメージだったが、
主任は積極的に育児や家事の手伝いをしており、
本当にできた人なんだと
感心してしまった。