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【R18】Querer【創作BL】

第38章 轍 *





もう一度名前を呼ばれるとハーフパンツに手が掛けられる。



「っや、だめ…、だめだって…」



求められたいのに同時に味わった恐怖を思い出した。
また拒絶させられる。
そしたら二度と立ち直れなくなる。



「おまえが好きだ、湊」



それなのに主任は熱を持った想いを伝えてきて、畳み掛けてくる。



「だめ…っ…、期待しちゃうから…だめ…っ」



恐くて逃げだしたい。
主任は優しいキスをして、強引に指を引っ掛け下着ごとハーフパンツを脱がされる。



「湊…おまえのことが好きなんだ。だから、最後まで抱きたい…っ…」

「だ、め…っ…、見たら、また…っ…んぅ」



これ以上幻滅されたくない。

主任は道を踏み外すべきではない。
離婚してもまた女性とやり直せばいい。
それができる人なんだ。

間違っても白い目を向けられるゲイになってはいけない。



「傷付けて悪かった。けどもう大丈夫。おまえの裸思い出して…、慰めたから」

「っ…」



緩んだ手の隙間から直接擦られていく。
間違っているって分かっているのに止められない。
この気持ちは何に捧げればいい。

愛されたいと願う自分の為か。
守りたい、救いたいと思う主任の為か。

深く絡みつく前に断れば引き返すことはできたのに、俺は、そうすることが出来なかった。


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