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【R18】Querer【創作BL】

第38章 轍 *





それから遊びに行こうという話になり、ドッヂボールをしに体育館に行くことになった。
主任の車内にスポーツグッズがあったのは驚きだ。

乗り心地の良い助手席に乗り込み、一旦俺の家に戻ってシューズと着替えを準備することに。



「お待たせしましたっ」

「走って来なくて良かったのに。途中で転んだりしなかったか?」

「そこまでまだ老いぼれてません。たまに走ったりしてます」

「そうだったな。車出すぞ。筋トレグッズちゃんと使ってるか?」



車がゆっくりと発進し、右折のウインカーを点滅させる。



「そっちは毎日無理しない程度には。サボってた時期を取り戻してます。主任は普段、ジムに通われたりしてるんですか?」

「ジム通いというか入居者用ジムで事足りてたし、実家にトレーニングマシンがあったから困らなかったな」

「へえー。主任の実家、立派で豪邸な気がします」

「広い土地ではあったが豪邸ではないな。トトロが舞台になった場所知ってるか?」

「狭山丘陵ですよね。有名です」

「俺んちの横は私有地なんだが原っぱが広がってる。お袋の実家がミカン農業で森林の近くに家を持ちたいって理由で郊外に家を建てたんだ。俺の兄貴が警察官っていうのは前に話しただろ?」

「あ、はい。お父さんは銀行員でしたよね」

「マシーンは兄貴の趣味部屋。親父も俺もそれ借りて男三人揃って筋トレしてた時期もあった」

「へえ~。仲良いんですね」

「他にはカラオケボックスもあったな。こっちはお袋の趣味。あそこで文化祭の出し物の練習とか歌の練習とかしたもんだ。俺と親父の趣味部屋はなかったけど。湊の実家は郊外?都内か?」

「市ヶ谷です」

「へえ、ブランド住宅地か。あそこ騒がしいだろ」

「地上も上空もなにかしら。慣れちゃいましたけど」



主任の豊かな表情には周りの環境が大きく反映していることが分かった。

仲の良い家族。

主任は楽しそうな顔で話しており羨ましく思ったが、微笑ましい気持ちにもなった。


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