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【R18】Querer【創作BL】

第34章 訪問者





そんな出来の悪い両親のことを思い出し、
涙が滲んできた。





「ん? ……泣くほど美味いのか?」


「……ぅん…」





牛垣主任は何か勘違い
しているみたいだけど
そういうことで良いんじゃないか。

実際、こっちの方が手厚い。



どこにでも置いてあるゼリー。
手の込んだ温かい料理。

どう見たって差は歴然。

あんなの、比べるだけ無駄だっていうのに。





涙が止まらなくなった。










「主任。ありがとう…ございました……」





全部食べきれると思ったけど
これが限界みたいだ。

もう食べられない。



ふ~…と満足した息を吐き出すと、

「ああそうだ」と
主任は服を引っ張っていってきた。





「飯食ったら温かくなったろ。
……全身拭いてやるから脱がせるぞ」


「っえ……」





裾を持ち上げられそうになって
ドキッとした。

思わず牛垣主任の腕に手を添えてしまった。





「? その手はなんだ。
自分で脱ぐのか…?」


「…い、いえ…。
もう一人で大丈夫、ですから…」





今になってボロボロ泣いたことが
恥ずかしくなってきた。

それに勢い余って腕なんか触っちゃうし。



ご飯を食べさせてもらって
少し元気が出た。

あとは一人で何とかなりそうな気がして
牛垣主任を家に帰さなければと思い出し、
断ったつもりだったけど。





「人に見られたくない身体でも
しているのか?」


「……い、いえ…。なんでも…」





俺を何者だと思っているんだ。
ゲイだけど一般人だ。

さっきは一人で着替えろって言ったくせに。



考えてもたついている間にも
ゲイだと勘繰られる可能性があった。

大人しく服を脱ぐことを決めたのだった。


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