第34章 訪問者
特に物音はしなかったが
目が開いた。
長い時間ぐっすり眠っていた気がするも
デジタル時計の位置が悪くて、
何時間経ったのか分からない。
窓から日が差していた
光りもなく、
夕焼けの空を通り越して
部屋の中は真っ暗だ。
「んう~……」
起き上がらなければと思うのだけれど
起きたくない。
こればっかりは時間が掛かりそうだ。
こんな時間になるまで寝たのに
頭は重いし
節々も痛いままで
倦怠感が増しているようにも感じる。
安静にしてたのに…。
もう歳だろうか。
もうひと眠りしようと
瞼を下ろすと
インターフォンが鳴ったような音。
ダメ押しにもう一回。
NHK……
それともなにかの訪問販売。
どちらにしてもこんな時間だ。
時計を確認したら
午後6時を過ぎていた。
過去にこんな時間に鳴らされたことはない。
何かのきっかけで起きなければと思い、
重い身体を動かして
モニターだけを確認しようと思ったら
慣れてない操作のせいで
通話ボタンを誤って押してしまった。