第34章 訪問者
火照って熱くなった額を撫で、
昼休みに入る前に
牛垣主任に呼び出される。
その手にあるのは体温計。
(この人本気だったのか……)
まさか職場で二度も体温測定をする羽目に
なるとは思わなかった。
大人だったら自分の体調管理くらいできる。
ああいや、
熱出してる時点で説得力ゼロだけど。
だけども何もできない子供じゃない。
考えるくらいの頭はある。
「何をしている。おでこ出せ」
可愛いかよ。
おでこって…言い方。
「あの…。なんでこんなに…」
「移されたくないからだ。
学校で教わらなかったか?」
「ああはい。そうですね」
やっぱり前言撤回。
全然可愛くない。
セドリックのときは凛々しくもありつつ
あんなに愛らしさがあったのに。
少し邪魔だと思い始めている
長い前髪をあげようと
腕を持ち上げようとしたところ
「実家から通っているのか?」
心配するようなトーンが返ってきた。