第33章 𝐋𝐎𝐂𝐔𝐒 *
エリックの抱えてきたものの重荷。
仲間を失い
復讐を遂げ
この場所に戻ってきたエリック。
ケンジは自分が何をすべきか
何者として声をかければいいのか
見失ってしまう。
「すまん。長い話をしたな」
「俺のこと……
すごい邪魔だったよな。
自分でもそう思う。
目の前に死ぬほど憎い奴がいるのに
俺は、自分が生き延びることしか考えてなくて」
氷の牙のような冷たい視線。
しつこく付きまとったケンジに対して
厄介払いどころか
囚人らしく紛れるために
子分として引き入れてくれた。
そもそもN.N.の興味も
エリックにあった。
お互いに匂いを嗅ぎ合う関係であって
ゲイであるエリックは
女じゃ反応しないからとかで
ケンジを自分の女として扱った。
なんだ。
結局そういうことなんだ。
「話してくれてありがとう、
セド……じゃなくてエリック。
昼ごはん食べよう。
お腹がもうペコペコだ。
食べながら観光できるところ教えてよ」
「いつまでいるんだ?」
その言葉に「いつまでいる気だ?」と
含まれている気がした。
エリックは免罪だと見抜いてくれた。
あのメッセージだって
大学に戻って
チェイスのいない人付き合いが苦手な生活で
無理してるんじゃないかと
ただ気遣っただけに過ぎないんだ。
「2日かな。
一日で回れるところ教えてほしい。
マートルビーチに来たのは初めてだから
ホテルも知っていたら
教えてほしいんだけど」
「俺のところに泊まればいい」
「……いいのか?」
「部屋は空いてる。
あの家は俺には広すぎる」
ホテル代が浮くなら助かる。
シーフードの店で新鮮な海鮮料理を
たっぷり楽しみ、
マートルビーチについて
色々詳しく教えてくれたのであった。