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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *







「俺はいくつもの嘘で自分を塗り固めていた。
どうしようもないくらいに
お前に嘘をついた。

きっと厭きれるくらいに」


「仕事だから仕方ないだろ。
俺が嘘ですぐ
人を嫌いになる奴にみえるか?」


「今からいうのはすべて真実だ。
ケンジに聞いてほしい」


「ああ、聞かせてくれ」





エリックは昔を懐かしむ目をして
順を追って、
ぽつりぽつりと語り出した。





「俺は親の顔も知らない孤児院で育った。
それから奨学金制度を受けて
軍人となり、
海軍特殊部隊員として幾つも死線を潜ってきた。
常にフォーマンセルが基本。
俺はチームでは最年少だった」





アメリカ海軍の特殊部隊。

陸軍特殊部隊と同様に
海・空・陸
どこでも活動可能できるよう
地獄のような訓練を終えてきた精鋭部隊。





「俺たちのチームはとても仲が良かった。
リーダーのラッシュは
普段は明るくおどけているが
いざっていう時は
頼れる父親のような存在。

カイマンはトカゲ頭で
場を和ませてくれる
兄貴のような存在。

ショーは誰よりも穏やかで
よく周りを見ている
……俺が誰より好きになった
唯一無二の恋人だ」





ケンジの胸がズキッと痛んだ。

しかしここでようやく
エリックの本来の形が見えてきた。

命懸けで助け合う仲間だからこそ生まれた絆。
孤児院で育ったエリックにとって
かけがえのない三人は
家族と呼べる存在になった。





「俺が22歳になった頃、
自分がゲイであることをショーに話したんだ。
何も答えてくれなかった。
避けられたんだ。

けど、数日経って
ショーもゲイで俺のことが好きなんだと
両想いだってことを知った。
それから愛し合うのに時間はかからなかった。
ラッシュもカイマンも
臆することなく祝福してくれた。
そんな幸せな時間は
あっという間で
アイツがやって来たんだ」


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