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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *





セドリックに言おうかどうか
迷っていると
向こうから話題を振ってきた。





「昼は食べたか?」


「いや、まだだけど」


「近くに美味いシーフード店がある。
コイツも腹を空かせてるみたいだ」


「ああ、賛成だ。
犬の名前は何ていうんだ?」


「…」


「?」





セドリックは聞こえない振りをして
歩き出す。

──…まさか元カノの名前?

元カノに妬くわけじゃないけど
だとしたら気まずい。
黙ったってことは都合が悪いってことだ。
監房の時だってそうだし。

そうだよ。
セドリックについて知らないことが多すぎる。

そもそもセドリックが
ここへ呼んだ意図ってなんだ?
都合の良いように
解釈していたが
依然として変わらない態度に
不純を感じはじめ足を止めた。





「あの日、
お前が只者じゃないってのは分かった。
トレイシーは仲間だったのか?」


「正式な仲間ではない。
金で雇われたただの連絡係だ。
俺の標的はもう見当がついているだろう?」


「デイジー?」


「……そうだ。
俺は奴を殺すためだけに
半年間、死んだ囚人の名前を借りて
なりすましていた」


「……え?」





ということは
セドリック・リプソンは亡霊。

じゃあ、お前は誰だ?





「俺の本当の名は
エリック・リチャードソン。
CIAのエージェントだ」





CIAとはアメリカ軍とは独立した組織であり
大統領直属の監視下にある諜報員。

ケンジは驚きのあまり口が半開きになる。





「話すと少し長くなる。
構わないか?」


「うん。お前に何があったのが
真実を知りたい」





他人の目があるところで話せない話であり、
本名を明らかにした
エリック・リチャードソンの横に
海岸の階段付近に腰を下ろしたのであった。


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