第5章 髪
肉料理を待つ間、
角から疑問を投げつけられた。
「牛垣主任は…その、
部下が風邪を引いたら…、
いつも看病しに行ってるんですか?」
「いや?ただ単に、
角が心配だったんだ」
「えっ…?」
「俺のこと、
最初は冷徹人間だと思われてたように、
俺はおまえのことを暗い奴だと思っていた。
近くに身内もいない、
看病してくれる人間もいない、
そうだと聞いたから
心配になるのが当然だろう?」
俺はなにも間違ったことを言っちゃいない。
優しくされるのが慣れていないのか、
角はほんのり頬を染め上げる。
「仕事を早く切り上げさせ、
使えない奴だと聞こえたのなら見当違いだ。
俺は扱く価値があると思ったから
厳しくも優しくもするし、
おまえのことが知りたいし話がしたいんだ」