第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *

一人暮らしのアパートメントに帰宅すると
美しい青い海岸の写真がついた
ポストカードが入っていた。





「It's good to unwind once in a while.
　C・L？　誰だ？」





ひと言だけメッセージが走り書きされており
イニシャルをみるも絵葉書を送ってくる
知り合いなんていない。

住所欄にはアメリカ南部に位置する
サウスカロライナ州・マートルビーチと
書かれている。

ケンジは頭を悩ませながら
階段をのぼり鍵を回す。





「セドリック・リプソン……？」





セドリックは手がかりを残していた。
休日は家族みんなで
ビーチハウスで過ごしていたと。

そこがサウスカロライナ州だとすれば。

ケンジは直ちに大学へ戻った。
2週間ほどの休暇届を提出。
フライトは6時間程度。
保険のために
頼れるジェイクにも連絡を入れ出発する。





「よかった……っ。
よかった、生きていてくれて……」





セドリックへの想いが馳せる。

セドリックはケンジの居場所を知っていた。
そしてわざわざ手紙を寄こした。
これにはきっと理由がある。

「お前に会いたい」
って不器用なメッセージ。

監獄の中だけじゃない。
きっとそうだ。
同じ気持ちだと思いたい。
だって最後に言ってくれたんだ。

「お前も一緒に連れていきたいよ」って。



ケンジはあの言葉を信じて港町を目指した。