第33章 𝐋𝐎𝐂𝐔𝐒 *
起床時間になると警鐘がなり、
鉄格子の施錠が解除される。
顔を洗ったが頭が眠い。
「寝返りを何度も打ってたな」
「うるさかった?」
「寝息は静かだった」
「人の寝顔見たのかよ」
「先に起きたからたまたまだ。
飯はここで食うか?」
「そうだな。
それが良いかも」
食事のトレイを受け取り
オープンスペースではなく
監房内で口に運ぶ。
味気ない食事なのに
セドリックが隣りにいるだけで
嬉しく感じてしまう。
なんて現金なやつだと自分でも思う。
(セドリックの刑期
聞いたら答えてくれるかな……)
あとどれだけ
一緒にいられるのだろう。
セドリックは
「お前は早く出られる」というが
免罪が晴れたら別れがくる。
ここを出たいけど離れたくないなんて
頭がおかしい奴みたいだ。
口にできないまま
食べ終わったトレイを片付け、
医務室に向かっている最中
ドゴォオオオ!!!
──…爆発が響き渡った。
「!!?」
「伏せろッ」
異なる場所で爆破する衝撃音。
破片が雪のようにパラパラ散っており
噴煙が舞っている。
セドリックは身を挺して
庇ってくれており、
ケンジはその下で崩れていく様を目にした。
「クソッ」
「セドリック。
暴動が起きたのか?」
「違う。
必ずお前を守り切る。
安心しろ」
「………」
奥のブロックから男たちの雄叫び。
突然始まる銃撃戦。
一体誰がなんの目的で?
武器を持たない肉体だけの囚人たちは
次々と赤い血を
ばら撒いて倒れて行った。