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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *





コーギーは居なくなったけど
図書室に行く気はない。

モラに手回しした張本人である
ルキノに会いに行ったら
「恩返し」と悪気もなく返答されてしまった。



制裁は必要だが、
殺す必要はないと思った。

しかしこれが監獄という場所なのだ。



それに一番は
セドリックが真犯人でないことに安堵した。





(同房がいなくなったってことは
今日から一人部屋……)





一人部屋は願ってもない。

今度は常識的なやつが良いなと思いつつ
監房内に足を踏み入れたら
下のベッドが既にシーツが敷かれ
メイキングされた後だった。

コーギーの私物は撤去済だ。





「これってアリか?」





思わず一人突っ込み。

一人部屋になったから
ひと時の時間を楽しもうと思ったのに。
新人には誰が来るとか来ないとか
教える気はないのだろうか。
ずさんだ。

コーギーが殺された時、
ついでに言う機会ならあっただろうに。





「大人しいアジア人だからって
なめやがって」





喧嘩も抗争も嫌い。
奮闘したいのは医療現場だけで充分だ。

まだ医者にもなってないけど。





「誰だろ…。
新入りかな?」





私物があまりにも少ない。
そろそろ監房に戻ってくるだろうか。
寝たふりして待ち構えることにする。
図々しい面持ちで立てないのは
人見知り癖だ。

絡んでくる奴だったら面倒だな。

どうせだったらセドリックがいいのに
なんて思っていたら、
見覚えのある長身が入ってきた。





「あれっ?
俺、部屋間違えた…!?」


「俺と同房じゃ嫌か?」


「えっ……?」


「代わってもらった」





心の中を読まれたみたいに
ニヤッと笑われる。

余裕がないほどに恥ずかしくなった。


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