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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *





レントゲン検査やエコー検査をするにしても
医務室まで移動しなければならない。

問診が終わって
ウォーカーの腹部のあたりを触ると
張りが強く、
手を振り払われてしまった。





「なにか分かったか?」


「検査が出来ないからね。
るい痩も激しいし、
病院嫌いとなると検査も手術もできない。
一般的な痛み止めが効かないとなると
オピオイドを使うしかない」


「オピオイド?」


「驚かすかもしれないけど
オピオイドは
医療で使われる鎮痛薬だ。
新聞やニュースで聞いたことない?
特に薬嫌いなヘルが
最も嫌う薬だと思うんだ」





ワンクッションを置いて話す。
殴られるのは困る。

固い椅子に長いこと座っていると
裂傷した肛門が痛くなってきた。





「ヘル。俺を今すぐ信じるのは
とても難しいと思う。
同じスペイン語を話せたとしてもね。

けど俺は医者だ。
端くれでも
彼の訴える苦痛を緩和してやりたい。

俺はウォーカーを助けたくて
ここまできた。
実際今でもすごく怖い。
ルキノがギャング組織の幹部だと知ったときは
震えちゃったよ。
いまでもすごくチビりそうだ。

正しい使い方をすれば間違いは起きない。
本来オピオイドは
疼痛を緩和するためにある」


「………」


「ヘル。
ケンジを信用できないなら
俺を信用しろ。
俺がここまで来いと命令した」


「それは……」


「男に襲われたばかりなのに
ケンジは単身で真っすぐ来てくれた。
俺はケンジの
その真摯な気持ちを信じたい」





この場では誰よりも心強い
モラの説得。

すると静かに
「俺はどうすればいい?」
とヘルがいった。



ヘルとウォーカーはただならぬ絆で
結ばれていると思ったが、
どうやら血の繋がりを持った
親子だということを知った。


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