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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *





ボスは30代くらいと非常に若く、
寛容なのは分かったが
周りが異様に
ピリついている空気が否めない。

小柄な男はモラに
スペイン語で話しかけていた。





「ケンジ。スペイン語で話そう。
俺はアメリカ生まれのアメリカ育ちだが
メキシコを愛している」


「俺も好きだよ。
ミーシアのメキシコ料理がすっごく恋しい」


「歓迎するさ。
話しは変わるがウォーカーが
痛みが強すぎて動けなくなった。
動かそうにも医者を嫌ってる」


「病院嫌いは良くあることだ」


「案内する」





元ラティーノのボス
ウォーカーの部屋には
世話係のヘルという若い男がいた。

ウォーカーはベッドのうえで
呻き声をあげながら蹲り、
脂汗や顔貌変化が強い。
本人から聴取するのは難しそうだ。

ケンジは世話係のヘルに向き直り、
医務室から持ってきた
ノートを広げた。





「これから問診をとる。
俺は医学生のケンジ・ニイヤマ、
頭でっかちの医学生だ。
状況を教えてほしい。
いつから痛みを訴えるようになった?」


「半年前」


「動けなくなったのは?」


「2日前」


「俺が入院してた時か…。
それまでは自分の力だけで
食事を摂ったり、排泄もしていた?」


「食事はほとんど受け付けない。
トイレは手を貸していた」


「痛がっているのはお腹のあたり?」


「ああ」


「ほかに痛がっていたところは?」


「足を触ったり、
背中を擦ってくれと言っていた」


「擦ると楽になると?」


「そうだと思う。
痛み止めはもう効かない」


「痛み止めは何を飲ませた?」


「……これだ」





手渡された透明袋の中には錠剤。
一般的に使われているNSAIDsだった。


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